ふりむいた風(4)
このストーリーではK君という風が、ある日転校生になって桃子のもとに再度現れた、そのことで「ふりむいた風」という題名になったのではないかと思います。Kくんから見れば、桃子が最後、ふりむいた風になったとも捉えられますが、どうなのでしょうか?しかし、ボーイフレンドまでいながら、K君、すなわち南条君の死の直前の桃子の最後の告白が読者の魂を揺さぶるものとなっています。これがハッピーエンドで終わっていたら、どこにでもある恋愛物語で終わっていたのだろう。
純愛の本質とは世界にただ一人の魂のかたわれに出会うことに尽きるのではないかと思う。それが現実にたとえ存在するしないは別にしても、自分の中にもう一方の異性の存在を意識に昇らせることが大切なことのように感じています。(美内すずえ先生は、この先「ガラスの仮面」でもう一方の自分、魂のかたわれについて展開しいいきます。)
エピローグでは、風がまた振り向いて、ふたりが愛し愛されることの喜びに浸っていた暖かなひとときに戻りたいと強く願ったK君の言葉で締めくくられています。彼にとって唯一愛した女性は桃子であり、周囲の人たちから冷たくされた生涯で、唯一しあわせだった彼女とのひとときに執着しているとはいえ、そこにしあわせの本質をもう一度、今のわたしたちに語りかけてくれるのではないでしょうか?
わたしは、この物語をもっと若い人たちにも読んでもらいたくて、載せてみることにしました。
エピローグ
‥‥
「きみは知ってる?
通りすぎた風の行方を
ページをめくり
花びらをちぎり
風の去ったあとも
それはそのままなのに
風だけが行ってしまった。
そしてそれがどんなにいい風でも
どんなになつかしくても
もう2度ともどってくることはない。
でも‥
もしも風がふりむいて
ふりむいてもう1度
たとえひとときでもそのときにもどることができたなら‥
ああ…
そうなったらどんなに…
どんなに…
僕はしあわせ…」
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